Ragaの履歴書

皆さんはRaga(ラーガ)をご存じでしょうか。
インド古典音楽を知ろうとすると必ずぶち当たるもので、よく「旋法」と訳されたりします。

でも、インド音楽を知っている人に聴くと、「旋法と言えばそうだけど、それだけじゃない」とか謎な返答が返ってきます。

先日のレッスンで、その謎に近づくとっかかりを得たように思えたので、今日はちょっとその話を。

Raga Lakshan

「ラーガ・ラクシャン」と読みます。Lakshanは身上書の事だそうです。
Ragaを初学者に教えるときはまずこのLakshanを教えるそうです。

Lakshanの内容は、敢えて日本語で書くと、(←「敢えて」日本語で教わったので)

  • 名前
  • 所属
  • 主音
  • 副主音
  • 上行音列
  • 下降音列
  • 特徴的なフレーズ
  • 終止音

のようなものだそうです。(また、副主音まではどの教本や先生でもだいたいこの順序で教えるそうですが、それ以降は結構バラバラだそうです)

具体例を挙げると、Raga:Asavari(アーサワリ)の場合、

  • 名前:Asavari
  • 型(Jati):Audava-Sampurna(上行5音、下降7音)
  • 所属(Thaat):Asavari(西洋音階で書くとド/レ/♭ミ/ファ/ソ/♭ラ/♭シ/ド)
  • (省略)
  • 上行音列(Aroha):SRmPdS(ド/レ/ファ/ソ/♭ラ/ド)
  • 下降音列(Avaroha):SndP mPdmP gRS
  • (以下略)

のようになるそうです。

ここで、インド音楽に馴染みのない頭で考えると、上記の身上書は「なんか(整理が)きれいじゃいな」「なんか冗長だな」とか思ってしまいます。

特に感じたのが、型(Jati)。上行で5音使い、下降で7音使う。でもそれって、上行音列、下降音列を見たら一発でわかります。しかも、「5音」だとどの5音かわからないけど、上行音列を見ればどの5音かもわかる訳です。

下降については、今回単純にドシラソ…と下っているわけではないので、今回は7音=全部の音だからいいものの、5音とか6音だったらどれが使う音か見分けるのはちょっとしんどいかも知れません。

とすると、個人的にはJatiとThaatの中間として、上行:SRmPdS、下降:SndPmgRSがあった方がわかりやすいんじゃないかな?と思っちゃいます。(Aroha/Avarohaとちょっとかぶっちゃうけど、そこは良い感じの区別をつけるとして)

とっかかり

と、上記のように私は考えてしまうわけですが、同時に以下のようにも思います。

  • 西洋音楽的な解釈ではそうかもだけど、インド音楽を西洋音楽的な解釈をしてはいけないのではないか?(そのような解釈ではインド音楽を真に理解することは不可能?)
  • 今は不自然だったりわかりにくいと思えても、それは初心者だからで、学んでいくととても自然に思えるものかも?
  • 自分が感じた違和感自体もインド音楽そのものなので、理解できないなら今は「そういうもの」と受け止めた方がよい?

私にとっては上記はとても重要で、もし先ほどの身上書が、「伝統的にこう書いてるけど、実はみんなわかりにくいなぁと思いながら使っている。だから、もっと理解しやすい方法があるなら、そっち使った方がいいと思うよ」というレベルのものなのか「いやいや、そう思うのは理解が浅いからだよ。ちゃんと学んでいけばそのうちしっくりくるはずだ」というものかで、取るべき態度が変わります。

前者であれば自分なりのわかりやすい整理をすることが学びであり理解を深めることなのでそうするでしょうし、後者であれば今の自分の考えは捨てる(執着しない)ようにします。

悩ましきインド音楽の世界

先ほどまでの自分自身の疑問に対する答えは、「インド音楽を西洋音楽的にとらえてはいけない。今はわからないならとりあえずそういうものとして受け止める」です。

インドの国民性って、日本人の感覚からすると結構ぶっ飛んだものもあって、しばしば笑い話になったりしますが、そういったインド人的な感覚がインド音楽に流れているとしたら、西洋音楽的な解釈や、日本人的な感覚ではその真髄にたどり着けない訳ですよね。

今回お話ししした「Ragaの履歴書」はRagaの分類を理解するために、しっかり覚える必要がありそうです。(というか個人的には今までに教わった/本で読んだRagaの説明の中で、一番理解が進んだと思います)

でも今後きっと、「完全に理解した!こういうことですよね!」「違う」「~だから~は~ですね!」「その場合はそうじゃない」といったことが沢山あるんだろうな。

インド音楽を理解するためには、何も考えずに素直に受け入れられる頭と、しっかり考えて論理立てて理解できる頭の使い分けが必要そうです。

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